内科医shimaのブログ

都内在住の循環器内科医が、日常診療や日々の気づき、資産形成について考えたりします。

医者の進路先について考えてみた

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飲み会の席で、先輩の先生が、大学病院の研修医たちに向けてこんなことを話し始めました。

「大学病院を研修先に選んだ君たちは、ブラックジャックになることは出来ない!」

なんで?と思いましたが、理由を聞くと一理あるなと思いました。

「大学病院に入るのは、野球でいえば球拾いからスタートするようなもの。市中病院では君たちが球拾いしている間にピッチング練習しているよ。」

 

大学病院では研修医は、採血したり、点滴を確保することがメインの仕事になります。

「先生、点滴が漏れました。」と言われて、病棟に点滴を取りに行ったり、採血したりしていると、今度は上級医から「あ、このオーダーもパソコンで入れておいて」、「サマリー書いといて」なんて頼まれている間に一日が終わってしまう。

 

市中病院では、採血や点滴はほとんど看護師が行ってくれて(医者よりうまいことも多い)、研修医はその間に検査に入ったり、上級医について助手をしたり、積極的に手術に関わらせてもらう。

 

大学病院では 人が多いので、研修医はどうしても下働きのような存在になってしまうが、市中病院では人手が足りないので否が応でも研修医も医者の一員として働くことになる。

だから、大学病院を選んだ時点で手術の手技の向上を目指すのは、難しくなってしまうというのが理由とのことでした。

「オレの同級生は研修医終わった時には、心臓カテーテル検査が一通り出来るようになっていた。それを聞いたときに、もうブラックジャックになれないと思ったよ。だから大学病院でしか出来ないことをやろうと、頑張ったんだ。」

 

もちろん、病院によっても違いはあるので、一概にはすべてを語れませんが、大きく分けると上記のような違いがあるのではないでしょうか。

私はただなんとなく、母校の大学病院を選んでしまいましたが、それぞれのメリット、デメリットを考えてみたいと思います。

 

大学病院

私の場合は、母校の大学病院を選択しました。

選択した理由は特になく、卒業して自分の入りやすいところに入った感じになります。

学生の時にあまり進路について考えておらず、流れのまま大学病院に所属になりました。

今から考えると、無計画だったなぁと思いますが、それでもメリットもありました。

学位をとれたことと、関連病院を回れたことです。

また私はしていませんが、留学も比較的しやすいと思います。

学位は大学院に入れば取れますし、入っていなくても、上級医について研究すれば、取得することが可能です。

また関連病院では、大学病院とは違った雰囲気で、またそれぞれ病院の方針も違い、大学の中にいるだけでは経験できなかったことを経験することが出来ました。

デメリットは、やはり研修医のうちはなかなか積極的に参加できないことと、人数が多いので手術をするにはなかなか順番が回ってこないことです。

 

市中病院

一番のメリットは、早いうちから手術や手技に参加できることではないでしょうか。

特殊な病気や、稀な疾患を対象としないのであれば市中病院で手術を学んだ方が、手技は上達すると思います。センスもありますが、やはり症例数は大事な要素です。

デメリットとしては、研究や教育が、大学病院に比べるとやりづらい点です。

指導者がいればよいのですが、日常診療で大変中で、教育も指導することができる上級医はかなり少ないのではないでしょうか。

 

以上、私見もありますが、医者の卒業後の進路について考えてみました。

それぞれのメリット、デメリットがあるので一概にどちらが望ましいかというのは、決められません。

ただし、自分で選んでしまったのであれば、そのメリットを享受できるように頑張るしかないのかなと思いました。