内科医shimaのブログ

都内在住の循環器内科医が、日常診療や日々の気づき、資産形成について考えたりします。

循環器専門医が教える不整脈薬の使い方(心房細動)

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心房細動に関する不整脈薬の使い方

不整脈に関する本は、有名な先生たちが出版しているので今更なのですが、気になったことがあったので書いてみます。

ちょっと専門的な内容です。

研修医などに教えるときに必要なこともありますので。

いろんな不整脈がありますが、心房細動に焦点を絞って書きます。

心房細動は持続時間により発作性、持続性、慢性と分かれたり、弁膜症性または非弁膜症性かで分かれたりと分類が大変なので、心房細動のレートコントロール一般として考えてください。

詳しくは心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)Guidelines for Pharmacotherapy of Atrial Fibrillation(JCS 2013)をご参照ください。

個人的な使用経験も含みますので、責任は各人でお願いします。

ファーストチョイス

禁忌がなければ、βブロッカーを使用します。

一般的にはビソプロロールカルベジロールを選択します。

禁忌は、気管支喘息、冠攣縮性狭心症なのです。

心機能が低下していても、少量から使用可能です。

セカンドチョイス

心不全がなければ、カルシウムブロッカーを使用します。

ベラパミルまたはジルチアゼムが多いです。

サードチョイス

ジギタリス製剤を使用します。

ジゴキシンですね。ただ、これは単独で使用することは少なく、上記と併用することが一般的です。

閉塞性肥大型心筋症などの流出路狭窄がある場合は禁忌です。

注意点

副伝導路がある場合(WPW症候群のとき)は、上の3つは禁忌です。Ⅰ群薬が使用可能です。

洞調律時にQRS幅が拡大しており、Δ波が疑われる時には循環器内科にお任せしたほうが良いです。

ちなみに、循環器内科であっても間違ってジギタリス製剤を投与してしまうことがあります。

間違った使い方

Ⅰ群薬(ナトリウムチャネルブロッカー)

一番間違って使われているのが、ナトリウムチャネルブロッカーです。

ピルジカイニドとかフレカイニドなどです。

何が間違っているのかというと、慢性心房細動(永続性心房細動)にⅠ群薬が漫然と投与されていることです。

この薬は洞調律化を目指す薬なので、1年以上も心房細動が持続しているときには、意味を成しません。

なのに、ずっと投与されていることが多いのがこの薬。

簡単に処方されているのですが、有害あって一利なし。

この薬自体はいい薬ですが、使い方には気を付けましょう。

 

簡単ですがまとめてみました。

ガイドラインでは、もっと細かく分類されているのですが分かりにくいなと思ったので、短くまとめてみました。

意見があればよろしくお願いいたします。